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No. 7802
Anne Golaz: Corbeau
6,750円(税抜)

スイス人フォトグラファー、アンネ・ゴラズ(Anne Golaz)の作品集。回顧録のような、あるいは絵画のようなー そんな情景を、生まれ育った地であるスイスの片田舎の農場で触れた生と死を写し取り、多層的かつ詩的なコラージュとして仕上げた一作。12年間にわたり3世代を見つめ撮影したイメージや動画から切り取ったスチル写真、ドローイングが文章とともに編纂されている。文章は、作家であり脚本家、劇作家のアントワーヌ・ジャコ(Antoine Jaccoud)と作家自身により執筆。アントワーヌは、演劇的にコミュニケーションにまつわる行動を観察し分析、この入り組んだストーリーを形にするために家族間の会話や作者が順を追って語った思い出の数々を書き起こし再構築した。本作の主人公は1人の若い男性であり、各章において農場で律儀かつ堅実に働く姿を目にすることができる。しかし、次第に彼の義務感に疑念が植え付けられ、ある不安がシリーズ全体に満ちていく。タイトル「Corbeau」はフランス語でワタリガラスを表し、謎に満ち、生と死の間に立つ仲介人のような意味合いを持つ。エドガー・アラン・ポー(Edgar Allan Poe)が著した不可解な詩から引用したこの題名は、詩中において変わりゆくもののシンボルとして描かれるが、写真はその永久に過ぎ去っていく瞬間に縛られているようでもある。本作は時の経過、命、宿命、そして死をテーマとし、未来がただ過去を思い出させるだけの一存在であることを描くため時系列に沿った並びを避けた編集となっており、またどんな結末へも繋がらない。そして宿命は、明暗のコントラストがきいた幼少期の隅っこで形作られている。文中で作家は、物語的な創出は「掃除機の中に(in a vacuum)」存在していると記している。事実を述べると、その枠は協力と破壊どちらのためにもなりうる。そんな入り混じった複雑な感情が生じる囲われた空間なのだ。196p 29x23xm ソフトカバー 2017 Enlgish  2017年パリフォト、Photobook of the Yearノミネート作品。